伝統をつなぐ橋渡し役として
十五代受け継がれてきた手仕事
当京月窯は今から300有余年前の元禄年間に「陶工7人衆」の一人として陶芸の道に勤しみ、後の大堀相馬焼の礎を築き上げたのです。
そしてそれが現在まで受け継がれ、第15代目の窯主として近藤京子が継承するに至り、代々を通じても初めての女性の継承者です。
コンセプトとして、器を創作する際に常に意識していることは、生活に密着していること…
つまりうつわそのものが暮らしに根付いているということです。
多様化するライフスタイルの今日、従来の既成概念にとらわれない器の使い方…
言い換えれば、女性が有するちょっぴりいたずらっぽい「遊び心」を日常生活空間に取り入れてみてはいかがですか?
京月窯
十五代 近徳 窯主
制作風景
粘土を形成
大堀相馬焼は「ろくろ成型」による手作りが本質です。二重構造、飛び鉋、菊押し、海面模様など伝統技法による作陶があります。
それに加えてタタラ板や紐作りといった製法も取り入れています。
湯のみの形成
- ろくろを回しながらゆっくりと穴を開けていきます。
- 厚さが均一になるように、少しずつ広げていきます。
- 木べらやこてを使いさらに厚みを調整していきます。
- 口の部分をなめし革を使って滑らかに整えます。
- ろくろを回しながら糸で台座から切り離します。
削り・装飾
粘土から成形後、ある程度自然乾燥した器の表面を削り仕上げし、花貫(はなぬき)という穴あけによる加飾や泥粘土による加飾を施します。
乾燥
成型から加飾・装飾を終えた器は、工房の一角で約1ヶ月間、自然乾燥という工程を経ていきます。この間に器は一回り縮小します。
1次焼成(窯入れ)
大堀相馬焼では、完全に乾燥した器を約850℃前後で一旦焼成する工程、つまり「素焼き」という作業があります。こうすることによって、次のステップの「釉薬がけ」や絵付けなどの作業が容易になります。
釉薬がけ〜本焼き
素焼きの次の工程として、「釉薬がけ」作業があります。伝統でもある青磁釉をはじめとして、京月窯オリジナルの釉薬など、10種類以上の釉薬を独自調合しています。
釉薬がけした器は「本焼き」という工程へ。
約1250℃の温度で焼成することにより、釉薬はガス窯・電気窯の炉内でゆっくりと溶け、追求した様々な色合い、風合いへと生まれ変わります。
釉薬がけ
- 素焼きした陶器に釉薬をかけていきます。
- 専用の柄杓を使って丁寧に釉がけをしていきます。
- ムラのないように、細部も全体に釉薬を纏わせます。
- まだ白色ですが本焼きすると綺麗な色が現れます。
仕上げ工程〜完成
本焼きし、窯から取り出した直後の作品には、溶け出した釉薬が付着しています。
ここから仕上げの工程へ。こびりついた釉薬は電動サンダーや紙やすりで丁寧に削り取ります。
さらに、フロアライトなどの照明は器具を取り付けます。
こうして多くの行程を経て作品が完成します。